2017年8月4日
第1回 AUT cube2 の4つのミッション
「AUT cube2」は、キューブサットと呼ばれる10cm立方の超小型衛星です。
一般的な衛星の大きさは数メートルであるのに対し、キューブサットは大人の手のひらに載る大きさ。重さも一般的な衛星が数トンもあるのに対し、1kg程度と非常に軽いものです。
宇宙へは、H-IIAロケットに相乗りして打ち上げられます。ロケットは、高度613kmまで上昇し、他の衛星を分離。その後、600km付近まで高度を下げ、「AUT cube2」が分離されて衛星軌道に入ります。これは国際宇宙ステーションより高い高度です。分離後の衛星が軌道を周る速度は秒速7.6kmほど。約90分で地球を1周する計算です。
「AUT cube2」はロケットから分離されると、200秒後に自動でスイッチが入り、アンテナを固定していたテグスがヒーターの熱で切断され、地上と通信するためのアンテナを展開。このアンテナは自動的に真っすぐに伸びる性質を持ったもので、アンテナが展開されると地上との交信がはじまり、いよいよミッションのスタート。「AUT cube2」が挑むミッションは、次の4つです。
ミッション1.目で見る人工の星
8個の高輝度LEDにより、地上から肉眼で観察することを目指します。理論上、6等星以上の明るさで見られる予定です。
将来的には宇宙との光通信が目標ですが、まずは5回点滅させることでメッセージを伝えるミッションに挑戦します。
ミッション2.720度宇宙撮影
2つの面に取りつけた魚眼カメラで宇宙を全方位撮影します。将来的には、宇宙を体感するVRコンテンツへの展開を目標にしています。
ミッション3.超低電力宇宙通信
地球との通信が、どこまで小さなエネルギーでできるかの実験を行います。より小さな衛星の開発やキューブサットによる深宇宙との通信を行うための基本技術として期待される実験です。
ミッション4.宇宙電波環境調査
宇宙には、地上から発される電波や他の衛星が発信する電波、天体が発する電波などのさまざまな電波が存在しています。今後、宇宙との通信に役立てるため、その分布状況などを調査します。
これらのミッションは、「AUT cube2」が自然に高度を下げ、大気圏に再突入して燃えつきる約7年半後まで続けられる予定です。
難しいと敬遠されがちな宇宙開発の分野をもっと身近に感じてもらいたい。AUTではその思いから、誰もが見て楽しめる親しみやすいミッションを盛り込みながら、宇宙へと挑んでいます。